16歳という若さで異国の地に乗り込んで来た彼と僕との物語。人生で初めて別れ際に涙を流しました。
先週末、留学をスタートして以来ずっと一緒にいたトルコ人の友人が母国へ帰ってしまいました。
[目次]
彼ってどんな人?
彼はとても心の優しい男で、とてつもないほどのイケメンです。
若き日のジャスティンビーバーと瓜二つと言ってもなんの差し支えもないレベル。
彼のイケメン伝説
ここで彼がどれだけイケメンであるかを示す逸話を2つご紹介しましょう。
・学校の庭で2人で話していると突如女性から連絡先を聞かれることがよくありました。
・唐突に知らない女性から話しかけられて、「あなたはとても美しい」だなんて言われたことだってあります。
あいつは無類の女好き。けれど憎めないそんな奴
2ヶ月と短い留学期間ではありましたが彼は片手では数えられないほどたくさんの彼女を作りました。
そう、、 彼は無類の女好き( ・∇・)
普通ならばここで僕は僻み彼を嫌うはずだったのかもしれませんがそんなことができないほど彼の心は澄んでいたのです。
いつも無邪気な笑顔で話しかけてくれて、いつも僕のことを心配してくれて、僕が少しでも楽しくなさそうな顔をしているとすぐに声をかけてくれる。
そんな彼のことを嫌いになれるはずがないではありませんか。
彼も僕のことを大親友とか家族だとかってよく言ってくれたりしました。(ようわからんけど海外の人は友達のこと兄弟って言いがち)
全てを持ち合わせた男
ある日彼は僕にこう言いました。
「もしもトルコに遊びに来てくれたら、ホテルやプール、それに食事も全て君のために用意するよ」と。
そう!彼もまたイギリスの留学生というステレオタイプの例外に漏れることなくお金持ちなわけです。
イケメンで心優しくて男女からモテるような人望を持ちかつ金持ちって一体お前は前世でどんな徳を積んだんだ。
僕はそんな彼が嫌いだった
しかし今でこそここまで仲がいいわけですが一番初めの出会った頃は正直彼のことは苦手でした。
彼は僕が入学した1週間後にやって来ました。
彼は僕よりも4歳年下。
歳の割には考え方が大人びているのは確かなのですがそれでも時折彼は幼くなるのです。
というのも急に奇声を発したかと思えば授業中にyoutubeを観ていたり、舌打ちをよくしたり。(彼いわく舌打ちはNOという意味らしく日本と同じような悪い意味合いではないそうです)
クラスのみんなで写真を撮ることになった時も彼だけは頑なに写ろうとしなかったり、お昼ご飯も誰とも一緒に食べようとしなかったり。
初めは彼もかなり尖っていたように思います。 そんな少し風変わりな彼にクラスメイトも先生も手を焼いていました。
基本的に海外の人たちはフレンドリーで明るいものだと思っていたので、当たり前のことですが、海外にもこんなおとなし目の変な奴がいるんだ。と僕はそこで1つ学びを得ました。
僕はその時彼のことを「散々甘やかされてきたイケメン」だなんて思っていました。
あの頃はよくホストファミリーに彼のことを笑いのネタとして話していました笑
こんなクレイジーなトルコ人がうちの学校に来たんだ!ってね笑
すべての始まり
たった一言がきっかけで
そんな僕と彼の間にも転機が訪れます。
彼は休み時間、お昼ご飯も食べることなくyoutubeを観ていました。帰宅後何をしているのかと聞いてみるとこれまたyoutubeと彼は言うではありませんか。
僕もyotubeはよく見るので、一体何を観ているんだろうと気になっていました。
ある日の休み時間、教室に僕と彼しか残っていなかった時のこと。
彼のボロボロでめちゃくそ安いイヤフォン(1ポンド)から音漏れがガンガンしていることに気づき耳をすましてみました。
すると聞き覚えのある音が!
画面を覗き見してみると彼が観ていたのはゲーム実況でした。
それは僕もやったことのあるゲームでした。 そのことを伝えると、彼はスッと僕が見やすいように画面を動かしてくれました。
思えばこれが全ての始まりでした。
人間の出会いって本当に不思議
彼はこのゲームがやりたくて仕方がないのだけれど母国に帰らないと出来ないということを教えてくれました。
その後は一緒に実況動画を眺めたのをよく覚えています。
これが彼と僕が仲良くなるきっかけです。
パンティングは僕たちの仲をさらに深めてくれた
そしてこの日の放課後にもまた彼と僕が友達になるきっかけがありました。
それが学校のアクティビティであるパンティングです。
パンティングとはボートを自分たちで漕いでオックスフォードの大自然を楽しむことができるというものです。
これは適度な運動にもなるし何よりもここの緑はとても綺麗なので僕はこのアクティビティが大好きです。
パンティングに関してはこちらの記事で少しご紹介していますのでよろしければ少し読んでみてください〜
僕もオックスフォードに来て2、3週間だったのですが友人(1歳年上のスイス人。彼の英語力はC2のさらに上)に誘われて行くことに。
するとトルコ人の彼も小さな声で「僕も一緒に行っていいですか?」と訪ねてくるではありませんか!
僕は何の迷いもなく「当たり前じゃん!!!」と返答しました。
学校からパンティングができる川に向かうまでの道のりで色々な話を彼としました。
どうして留学したのか?将来は何をしたいのか?どうしてオックスフォードを選んだのか?そしてトルコのことについて。
この頃僕はまだ日常会話をすることに怯えていたので、このような内容の濃い話ができてとても喜んでいたことを覚えています笑
パンティングではお互い適度な運動ができてとても楽しかったです。(適度適度って言ってますけど実際はだいぶ疲れてました笑)
ここまではまだ僕の中で彼は一般的な友人という認識でした。
一緒に行った人生初ロンドン観光!彼のことを弟のように感じ始める
その1週間後の週末にロンドンに行くことになっていました。
その時なんとなく彼も誘って行くことに、
僕にとって初のロンドン旅行はそれほどいいものではありませんでした。
その時の記事がこちら!
よかったら合わせて読んで見てください〜
観光名所などはそれなりに楽しかったのですが、やはり集団で行くとうまく行動することができず、、、
何よりまだ16歳の彼にとってただ何かを見て回るという行為がそれほど楽しいことではなかったようで、それがかわいそうで仕方ありませんでした。
今回のグループには大人もたくさんいたので昼食はバカ高いレストランだったし彼は帰りたがっていたけれどなかなか帰れなかったり。
それでも彼は文句を言わず、ただただ僕たちについてきて、僕が声をかけると「大丈夫だよ」と言うのです。
そんな彼のことが可哀想で可哀想で、そんな彼のことをどうにかしてあげたいと思うようになって。
今思えばここから彼のことを弟のように思うようになったのだと思います。
そして彼もまた僕のことを兄のように慕ってくれるようになりました。
四六時中一緒に過ごすようになり
次の週からは毎日放課後、一緒にシティーセンターまで2人暑い中30分かけて歩いて帰りました(今思えばなぜバスを使わなかったのか謎ですがたぶん、その頃授業中によく環境問題について取り上げらることがあったのでその関係かと思います笑)
シティセンターに着くと彼は自分のバス停へ、僕は図書館へ向かうのです。
ある日から学校の庭に卓球台が設置されました。
僕は高校の授業でかなりの時間卓球をしていたのでそこそこできたのですが彼はトルコで一度やったきりとのことであまり上手ではありませんでした。
しかし休み時間や放課後、僕たちは毎日のように卓球をしました。(ちなみに卓球は英語でテーブルテニスかピンポンと言います)
彼はみるみる上手くなっていきました。
彼が学校を卒業する最後の日もたくさん卓球をしました。
彼はマッチよりも一定リズムで撃ち合うマッチが好きでこれをしているときは夢中になって楽しんでいました。
彼とはよく映画館にも行きました。彼はアクションムービーが好きです
映画の最中はいつもオーバーリアクションでした笑
彼とはまた別の日にもロンドンに行きました。
(すみませんこの記事のために彼のことを思い出していると涙が出てきてしまいました。文章が雑になってますごめんなさい。
もう2週間も前のことのはずなのに)
心配性の彼
僕がスコットランドに出かけていて学校に遅刻してしまった時もすごく僕のことを心配してくれていました。
僕がただの擦り傷を負った時なんて彼は本気で「気をつけろ!!!」って言ってくれたんです。
二人で乗り越えた壁 家族を想う彼の気持ち
ある日僕と彼ともう一人の親友の3人だけが飛び級で上のクラスに行くことになりました。
僕たちは授業がはじまる時「めっちゃ嬉しい!ワクワクする!」だなんて言ったり「怖いよ〜緊張するね」だなんて言い合っていたことを覚えています。
実際授業はとても辛いもので3人目の親友は元のクラスに戻ってしまいました。
僕も本気で戻ろうか考えたくらい辛かったです。
今となっては授業にもだいぶ慣れてきましたが。
それでも毎日憂鬱ではありました。
次第に僕たちは英語学習に対するやる気が削がれていってしまいました。
ある日そのことを察した元のクラスの先生に僕ら二人が呼び出され「最近大丈夫なの?」と尋ねてきました。
正直僕は「大丈夫じゃない。元のクラスに帰りたい」と言いたい気持ちでいっぱいでした。しかしそんなことよりも僕は彼のことが心配だったのです。
彼は授業中、心ここに在らずといった状態になっていました。
もう笑顔に満ち溢れていた頃の彼はいなくなってしまっていたのです。
大丈夫かと尋ねられた彼は、「僕はもう授業に集中することができない。何も聞き取れない。家族が恋しい。友達が恋しい。早く家に帰りたい。」と答えました。
考えてみれば16歳という若さで異国の地に一人で来てただでさえ辛いのに、それに加えて辛いレッスンを毎日受けさせられてしまえば、そりゃもう想像を絶するほど彼は辛かったことでしょう。
僕は彼のことを思って、必死に元のクラスに戻るよう説得したのを覚えています。
しかし彼は諦めませんでした。
His Last Day(人生で初めての号泣)
彼はなんとか耐え抜きいよいよ卒業の日。
この日は18時から食べ放題レストランを予約していたので放課後はその時間まで先生から借りたミッションインポッシブル3(このシリーズは最新作しか見たことなかったので正直何が何だかさっぱりだった)を見たり卓球やらおしゃべりやらをして時間をつぶしました。
卓球をしてお互い疲れてぼーっと座っている最中僕は彼とのことを思い返していました。
するとなんだか何か込み上げてくるものが
僕はなんだかわからなかったけれどとにかく彼にはこの顔を見られちゃいけないような気がしたのでずっと顔を手や衣類で隠していたと思います。
しかしそれでも込み上げてくるものが目からこぼれ落ちてしますような気がして、トイレに駆け込みました。
人生で初めて別れ際に号泣したのです。
小中高の卒業式では周りに合わせて頑張って泣こうとしたにも関わらず一滴も涙は出なかったし、高校から大学に上がる際地元を離れ東京に行く時、旧友との別れ際でさえ僕は涙を流すことはなかったのに。
彼が僕に向けてくれた優しさ笑顔を思い出して涙がこぼれてしまったのです。
(この記事を書いている今でも僕はメガネをべたべたにしてしまっています。)
あまり長い時間、彼から離れると彼が心配してしまうと思って僕は泣くのも早々に終わらせて顔を洗いました。その際目が真っ赤になってしまっていることに気づきましたのでそれを必死に隠して、また卓球台のある庭に戻ったのです。
庭にいるたくさんの友人たちがふざけあっているのを見ているとまた僕はこんなことを思ってしまうのです。
「こんな楽しい時間もいつか終わって、離れ離れになってしまうんだよな」
そんなことを思っているとまたしても込み上げるものが
するとたくさんの友人が僕の顔を見て「どうしたんだ」と尋ねてくるではありませんか。
尋ねられてもうまく声を発することはできませんでしたし「今はそっとしといてくれーーーーー!」と思っていたのだけれど彼らがそんな僕を放っておいてくれるはずがありません。
極め付けには彼が僕のところまできて問いただしてくるのです。
彼と話すと余計に涙がこぼれ落ちてしまいそうになるような気がしたので「今は話しかけないでくれ」とだけ言ってまたトイレに行ってしました。
なんだか中学校にいた女の子みたい笑
しかしトイレに駆け込んだはいいもののレストランの予約時間が差し迫っていたのでこのまま篭っていることもできませんでした。このまま帰ってやろうかとも思いましたがそんなことをしたらきっと彼は悲しむことでしょうからできません。
仕方なしにトイレから出て行くと流石にみんな察してくれて、順々に僕にハグをしに来てくれます。(ここは海外っぽいですよね)
学校からレストランに向かう道中に彼は話しかけて来ました。
いうても僕はまだ泣くのを我慢している最中だったので「俺は大丈夫だから!今はほっといてくれ」だなんて今思えばひどいことを言うと彼は悲しそうな顔をして本気で心配してくれるのです。
「何かあったの?言いたくなかったら別に無理に聞かないよ。君が大丈夫だって言うならそれで良い」
その時の彼は本気になってしまっているせいかすごく必死に言葉を紡いでいたように思います。
いよいよレストランに着くと他の友人たちが彼の近くに座ってしまったので僕は残りのかなり離れた椅子に座ることになりました。
どうせ今彼と話すとまた泣いてしまうしちょうど良いやだなんて思っていると彼は「リョウキはどこ?」と。「僕はリョウキの隣がいい」だなんて言うんです。
人を泣かせる才能がすごい。
一通り食事を楽しんだ後は真っ白なTシャツにみんなで寄せ書きをしました。
みんな一言書いたり母国の文字で彼の名前を書いたり絵を描いたりしている中で僕だけは、かなりの長文を書いてしまいました。
周りから「お前は書きすぎだ!止まれ!」だなんて言われましたが、ブログを書いているような僕ですから長文を書くのが得意得意。
もちろん止まることなんてできません。
彼が数年後このメッセージを見返したときに俺のことを思い返して欲しいから。
別れを惜しみながら一緒に歩を進める
店を出た後は彼のバス停までの長くはない道のりをゆっくりゆっくりと歩きました。
別れを噛みしめるように一歩、また一歩と歩を進めました。時には別れたくないと言う気持ちが現れているかのように立ち止まって無駄話をしたり写真を撮ったり、本当にゆっくり時間をかけてその道を歩きました。
とうとうバス停に着いてしまいました。
彼のバスが一生来なければ良いのになんて思いながら彼と一緒にバスを待ちます。
そんな淡い期待とは裏腹に彼のバスは僕たちが到着してからものの数秒で来てしまいます。
なので最後に強く強くハグをしました。
その時の僕は卓球をしたせいでかなり汗臭かったと思います。
しかしそんなことは気にしません。今思えば申し訳なかった笑
一通り別れの挨拶を済ませた後彼は急いでバスに乗り込みます。
みんな涙ぐみながら最後の彼の姿を眺めていました。
彼もまた車窓から僕たちを眺めています。
感動の別れがとうとう秒読みとなってしまったと誰もが思い込んでいたのですが全くバスが出発しないというね笑
もちろんそれは嬉しいのですが、心の中では「イヤ!まだかよ!!」と笑
なんだか気まずい空気が流れてしまっていて逆に笑けてきました笑
彼が窓に顔も押し付けたりしていたのがとってもキュートでした。
友人の一人が高いところに登って危険ながらも彼に手を振っていたのも面白かったです(なぜあんな高いところに登ったのかはよくわかりません笑)
案の定、心優しい彼はめっちゃ心配するのです笑
もう一生出発しないのではないかと思われた彼のバスもやはりエンジンがかかり入り口の扉が閉まり、とうとう出発してしまいました。
彼とのお話はここでおしまいです。
最後に思うこと
今こうして思い返してみるともっと一緒にいろんなところ行っとけばよかったなーなんて後悔をすることもあります。
もっとお互い英語が流暢だったらさらに気持ちを伝え会えたのになーなんて思ったり
それでもここまで仲良くなれたんだからやっぱり人と人との関係って言葉だけが形成するわけじゃなくて、言葉は単なる補助でしかなく一番大切なのは行動や笑顔なんだろうなって思いました。
けれど僕と彼との全ての始まりは「何を見てるの?」というたった一言からでした。
あの時の小さな勇気の一歩がこんなことになるなんて思いもしませんでしたよ。
彼は僕の人生において本当に本当に大切な親友です。
いつか必ずトルコに行きます。もう一度彼に会って笑い合いたいから...
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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